2021年上半期の知的財産権趨勢
2021/07/27 台湾www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-894124-5ceb6-1.html
2021年上半期における特許、実用新案、意匠の三種の専利の新規出願件数は、35,264件(前年同期比4%増)となり、また商標登録出願件数は46,379件(前年同期比7%増)といずれもプラス成長となった。台湾人による特許出願件数は急速に成長し、大企業による出願件数が21%増加したことが主な原因で、このうち台湾積体電路製造(TSMC)が1,263件と初の1千件を突破し、並はずれた形で台湾内外の各出願人による出願件数を大幅に超えた。外国法人においては、クアルコムが特許出願件数454件で最多となった。商標出願件数は再び過去最高を記録し、台湾人及び外国人による出願件数はいずれも前年同期比7%増となった。全体から見ると、2021年上半期の知的財産権趨勢はおおむね安定した成長を示した。
一、 今期の専利出願の動向
(一) 台湾人による特許出願件数は1割以上のプラス成長
台湾が受理した特許、実用新案、意匠の三種の専利出願件数のうち、特許は23,876件で、台湾人及び外国人による出願件数はいずれも前年同期比プラス成長となり、また、台湾人による出願件数は13%のプラス成長となり、外国人による出願件数と比べ大幅増となった。実用新案及び意匠においては、外国人の出願件数はそれぞれ前年同期比22%増、同比5%増となった(表1参照)。
(二) TSMCの特許出願件数は過去最高
台湾企業全体の特許出願件数は7,650件で、前年同期比プラス成長となり、台湾人による特許出願件数の約79%を占め(図2参照)、企業に集中した現象が明らかとなった。上半期で見ると、企業による特許出願件数はすでに5年連続のプラス成長で、2021年上半期における成長率はここ5年における最高となり、主として大企業の出願件数が21%増加したことが原因である。
出願人では、TSMCの特許出願件数が1,263件で、上半期で初の1千件以上となり、同社の特許出願件数の過去最高を更新し、台湾の研究開発・イノベーションにとって重要な役割を担っていると同時に成長率は237%にも達しており、その他の台湾法人と比較しても積極的であった(図4参照)。また、意匠出願件数は巨鎧(COPLUS)が59件で最多となった(図5参照)。
(三) 国立陽明交通大学の特許出願件数は高等教育機関のトップ
台湾の高等教育機関の出願件数は前年同期比微減となり、出願人別でみると、国立陽明交通大学が59件でトップとなり、私立大学では、崑山科技大学が26件で最多となった(表4参照)。このほか、2021年上半期における国公立大学の特許出願件数は前年同期比4%増となり、高等教育機関全体に占める割合は64%に至った(図6参照)。
(四) 研究機関における特許出願件数は小幅な増加
台湾の研究機関による特許出願件数は前年同期比4%増となり、そのうち、工業技術研究院(ITRI)は101件で最多となった(表5参照)。
(五) 金融三業の三種の専利出願件数は中国信託銀行が最も顕著
台湾の金融三業(銀行、保険、証券)による出願総件数は、特許が72件、実用新案が267件といずれも銀行業の出願が最も積極的で(表7参照)、そのうち、中国信託銀行は特許(19件)、実用新案(66件)のいずれにおいても金融三業のトップとなり(図7参照)、卓越した結果を示した。
(六) 外国人法人のクアルコム及びハリー・ウィンストンがそれぞれ特許及び意匠の出願件数のトップ
台湾で専利のポートフォリオを展開する国(地域)において、特許及び意匠では日本が比較的積極的で、それぞれ6,044件及び512件出願しており、実用新案は中国が358件で最多となった(図3参照)。
出願人別では、米国クアルコムが特許出願件数454件とその他の出願人を大きくリードし、成長率では韓国の韓領が前年同期比442%増で最高となり(図4参照)、意匠出願件数では、スイスのハリー・ウィンストンが97件で最多となった(図5参照)。
二、 今期の商標出願の動向
(一) 台湾人による出願件数が再び過去最高
商標登録出願受理件数は46,379件(59,814区分)と前年同期比7%増となり、台湾人及び外国人による出願件数はいずれもプラス成長となった(表1参照)。このうち、台湾人による商標出願件数は35,048件と再び過去最高を記録した。
(二) 台湾人による出願は第35類、外国人による出願は第9類が最多
出願類別でみると、台湾人による出願では第35類(広告、企業経営及び小売・卸売役務等)が6,919件と最も多く、前年同期比16%増となった(図9参照)。外国人による出願においては、中国が2,333件と他国をリードし(図3参照)、第9類(コンピュータ及びテクノロジー商品等)が2,115件と最多となった(図10参照)。
出願人においては、台湾人又は外国人を問わず、出願件数が大幅に成長した。台湾人においては、国際的チェーンストアのファミリーマートが一挙に145件の増加で1位を占め、次いで食品業の統一企業が出願件数139件で2位となった(表8参照)。外国人においては、前年同期で未出願の香港の兔女孩(135件)及びケイマン諸島の游老集団(90件)がそれぞれ1位、2位となった(表9参照)。
(三) 台湾の農業食材産業の出願件数が1位
産業方面において、台湾人の「農業食材」の商標出願件数は10,621件とその他の産業を大きく超え、同時に外国人の各産業への出願件数をも大幅に超えた。外国人による出願では「健康医療事務」産業への出願件数が3,654件と最多となった(図11参照)。
※2021年上半期季報は、下記リンク先の智慧局サイトの「統計季報」を参照。
www.tipo.gov.tw/tw/lp-167-1.html
※本文章は『台湾知的財産権情報サイト』から転載されたものです。