日米欧中韓による第3回商標五庁(TM5)会合を開催しました
2014/12/05 国際~ユーザーフレンドリーな商標制度に向けた国際協力~
12 月 3 日~5 日にかけて、日米欧中韓による商標担当五庁(TM5)会合を東京で開催しました。
今次会合では、有名な地名やブランドなどの商標が海外において無関係な第 三者により無断で商標出願・登録される、いわゆる「悪意の商標出願」に対応するための各国の制度・運用や、商標の画像イメージ検索における課題と解決策等について、それぞれ報告書が取りまとめた他、計 12 のプロジェクトの成果を盛り込んだ共同声明を発出しました。
経済のグローバル化が進み企業間の競争が国際的にも激しさを増す中で、高い価値を有する国際的なブランドの確立及び保護のため、商標権の活用がますます重要になってきています。
企業の国際展開を支援するためには、世界各国で安定した商標権を速やかに取得でき、適切に保護されるような環境を整えることが不可欠です。
そのような状況の中、日本特許庁は、2001 年から、欧州共同体商標意匠庁(OHIM)、 米国特許商標庁(USPTO)とともに、日米欧商標三極の枠組みにおいて、各国企業の商標が世界各国で適切に保護、活用される環境整備を図ることを目的として国際協力 に取り組んできました。
さらに、2012 年からは、韓国特許庁(KIPO)、中国国家工商行政管理総局(SAIC)を加え、新たな商標五庁 (TM5)という枠組みにおいて協力を推進しています。
今次会合では、9 つの共同プロジェクトと新規プロジェクトについて議論を 行いました。
(1)商標分野
①悪意の商標出願対策プロジェクト
有名な地名やブランドなどの商標が海外において無関係な第三者により無断で商標出願・登録される、いわゆる「悪意の商標出願」は、世界的な問題となっています。
今次会合では、我が国が取りまとめた「悪意の商標出願に関するTM5の制度・運用」報告書が、各国の制度・運用に関する情報の共有と提供を図るものとして高く評価されました。
この報告書は、一般に公表する予定です。また、悪意の商標出願セミナーを定期的に開催し、今後も悪意の商標出願について研究を深め、対応策を検討していくことについて合意されました。
②図形商標のイメージサーチプロジェクト
図形商標をイメージ検索する場合の課題及びその解決策、イメージサーチシステムを導入する場合の利用方法など、これまでの共同研究の成果を我が国が報告書に取りまとめ、今後の図形商標検索システムの発展に資するものとして高く評価されました。この報告書は一般に公表する予定です。また、この共同研究を今後も行っていくことが合意されました。
③国際商標出願の利便性向上プロジェクト(新規)
一つの出願で複数国への出願が可能となる商標の国際出願制度については、権利を取得するための制度や手続が国ごとに異なっており、言語の違いもあることから、出願人が必要な情報を入手し難い状況となっています。
今次会合では、国際商標出願制度の利用を促進するために、我が国の主導で、WIPOと協同して、各指定国(出願先)における制度や手続に関する情報を分かりやすいフォーマットで提供していくことが合意されました。
④その他
また、今次会合中 12 月 5 日に、一般ユーザーを対象として、商標ユーザーセッションが 開催されました。
各国の最新の法改正等の商標施策が報告された他、来年春を目処に我が国でも出願の受付が開始される、音商標や動き商標などの「非伝統的商標」についての各庁の登録事例の紹介等に関するプレゼンテーション・パネルディスカッションが行われ、企業、弁理士、弁護士等、多数のユーザーの皆様にご参加いただきました。
(2)意匠分野(※)
各国におけるデザインの重要性の高まりを受け、これまで日米欧韓の 4 庁で開催して きた TM5 意匠セッションにおいて、中国を加えた新たな多国間での意匠の議論の場を創設することについて、活発な意見交換を続けてきました。
そして、本会合において、意匠セッションを TM5 から分離し、意匠五庁会合(ID5)を創設することに合意しました。
新たな ID5 の枠組においては、各庁における国際意匠出願に関する運用、意匠分類の維持・管理・運用や、審査の品質管理といった各庁共通課題について、継続して情報交換を行っていくことを確認しました。
※意匠分野の専門家会合は、日米欧韓の四庁により開催。なお、次回 TM5 会合は米国が主催することで同意しました。
特許庁は、我が国企業の商標が世界各国で適切に保護、活用される環境整備に向け、商標五庁の枠組みでの国際協力等を推進することにより、我が国企業のグローバルな事業活動の支援に努めてまいります。
本文章は『経済産業省』から転載されたものです。