米任天堂、海賊版ROMサイトに勝訴。約2億3000万円の賠償支払い
2021/06/02 国際米国任天堂がニンテンドー3DSやNintendo Switch用ゲームの海賊版ROMデータを配布しているサイトに対して起こした訴訟にて、海賊版サイト所有者に合計211万5000ドル(約2億3000万円)の賠償支払いを命じる判決が下されました。
この訴訟は2019年に、米任天堂が海賊版ROMサイトのRomUniverseに対して提起したものです。RomUniverseは年額30ドルの会員制サイトであり、訴状によれば「任天堂ゲームの海賊版サイトのうち最も訪問者が多くて悪名高いオンラインハブの1つ」であり、Switch用ゲームは30万回近く、3DS用ゲームは50万回以上もダウンロードされたと述べられています。
サイト運営者のMatthew Storman氏は弁護士を雇わず自ら法廷に立ち、当初は海賊版ROMを提供していたことを否定。また自らはゲームをアップロードしたことはないとも主張していました。
裁判を担当した判事はほぼ任天堂を支持しており、商標権侵害の訴えを受け入れることで決着しました。判事は任天堂が著作権侵害に関する十分な証拠を提出したことに加え、結局Storman氏は自ら海賊版ROMデータをアップロードしたと宣誓供述書(本人が真実であると宣誓した上で署名し、公証された文書)で認めたからと説明しています。
もともと任天堂は著作権侵害1件ごとに1万5000ドル、商標侵害1件につき最大200万ドル、合計で1500万ドル(約16億円)以上を請求していました。が、判事は49の著作物それぞれにつき3万5000ドルの賠償で十分だと判断し、そちらが約170万ドル。また29件の商標についても、1件あたり40万ドルを要求していたところ、まとめて40万ドルということに。それらの合計が211万5000ドルになったしだいです。
かつて任天堂はLoveROM.comとLoveRETRO.coという2つのROMサイトを告訴し、1200万ドル(約13億円)の賠償支払いで和解に達したことがあります。それと比べれば今回の賠償額は控えめにも思えますが、それでもサイト運営者がひとりで背負うには荷が重いこともあり、他の海賊版ROMサイトへの見せしめとしても役立つはず。
著作権が正当に守られるのは良いことではありますが、ユーザーがレトロゲームを遊ぶ機会を確保するためにも、Nintendo Switch Onlineでファミコンやスーファミのみならず、NINTENDO64用ゲームの提供などが望まれるかもしれません。
※本文章は『Engadget 日本版』から転載されたものです。