知的財産裁判所2014年度行商訴字第86号判決
2014/10/16 IP 判決
原告 林之林科技株式会社
被告 経済部知的財産局
参加人 達爾膚生医科技株式会社(原:天昱生物科技株式会社)
主文:
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実:
1.原告は2011年5月4日に第3類の「美顔用パック、化粧品、毛髪用ウエーブ剤、毛髪用着色剤、人用洗浄剤」などを指定商品として原処分機関の経済部知的財産局に「胡博士DR.HU及び図」を登録出願し、2012年8月16日に登録番号第1531004号(以下係争商標という)として登録された。
2.参加人は係争商標が商標法第30条第1項第10、11、12号の規定に該当し、第1176996号、第1276721号、、第1276722号を引用商標として異議申立てをした。
3.原処分機関は係争商標の登録は同法第30条第1項第10、11、12号の規定に該当せず、2013年8月28日に中台異字第1010777号の商標異議決定書にて異議申立て不成立と処分を下した。
4.原告は不服で経済部に訴願を提起し、被告は2014年5月9日に訴字第10306104690号の訴願決定にて原処分を取り消し、原処分機関に差し戻した。それに対し、原告は不服で本裁判所に行政訴訟を提起した。
判決の旨:
1.二商標は観念、意味、称呼及び指定商品を比較すると、機能、用途が何れも共通又は関連する部分が認められる。また、二商標の類似性から見ると、消費者に二商標の商品又は役務は同一供給元のシリーズ商品又は役務であると誤認させ、若しくは関連企業、使用許諾又はその他の類似関係があると混同誤認させる可能性が生じるから、商標法第30条第1項第10号に該当する。
2.原告は、名字を商標として使用するのが原則的に識別性を有せず、稀で特殊な場合のみ使用による識別性が生じたことで商標登録が始めて受けられるから、その保護範囲は制限されるべきである云々と主張した。調査により、引用商標の「WU」は確かに中国語名字「呉」の音訳であり、それに「呉」とは華人社会でのありふれた名字である。しかし、各引用商標は参加人により自ら生産したコスメチックに幅広く使用され、知名な印刷媒体及びテレビを通して自らの商品が広報されていたから、各引用商標の著名性は前述のように達し、原告の述べた「稀で特別な場合」に該当する。従って、各引用商標の本質は名字であるだけで、参加人のマーケティングに対する努力を保護する必要がないと認めるべきでない。また、商標行政訴訟事件は主に消費者に対する保護に着眼するものであり、両商標の類似性によって、同一又は類似する商品・役務に使用すると関連消費者の混同誤認が生じる可能性がある場合、原告は商標の使用に如何に努力しても、市場において並存している事実がない限り、先登録商標は保護すべきであり、後出願の商標は登録を受けるべきでない。