“座りながらカロリーを消費する椅子”が好調
2018/01/25 日本PCの前から動かずに仕事をする時間が圧倒的に増え、近年は座り過ぎによる健康リスクの増大が問題視されている。日本人は世界の中でも座る時間が最も長いという報告もあるほどで、それだけリスクも懸念されている。そんななか、コクヨが“座るを解放する”をコンセプトにした、座っている状態でも体の動きを止めない椅子「ing」を開発し、2017年11月7日に発売。売り上げも好調だという。
「座りすぎ対策としてオフィス家具業界ではスタンディングデスクを提案してきた。しかしそもそも座ることが悪いのではなく、同じ姿勢を取り続けることに問題の原因がある」と考えた同社。座面が体の微細な動きに合わせて360度自然にスイングしブランコのように重力で座面を揺らせる「グライディング・メカ」(特許申請中)を開発。これまでにも座面を動かせる椅子はあったが、前後のみなど一方向のみ動くものが大半だった。
同社と慶應義塾大学スポーツ医学研究センターの橋本健史准教授との共同研究によれば、座って作業をした場合、座っているだけで従来品に比べて8割の人の肩の筋肉、5割の人の腰の筋肉が活動していることが確認された。またingに座って揺れながらデスクワークを4時間した実験では、ウォーキング約1.5kmに相当するカロリーを消費。さらにingに座った状態で60分揺れると、7割の人のα波、6割の人のβ波が増加したという。「揺り戻しの心地良さを重視し、試作品では数多くの人の心地良さを確認した。きっかけは健康視点だが、体が揺れることで脳が活性化され、有用なアイデアが13%アップすることも実証されている。働き方改革で長時間労働に焦点が当たることが多いが、楽しくポジティブに働ける環境を提供し、“生産性を高める”働き方改革につなげたい」(同社)。
※本文章は『日経トレンディネット』から転載されたものです。